曲目解説-定期演奏会演目(H15.12.23)
H15.12.23に市川市民会館で行う演目の解説です。
【管絃】かんげん
双調音取(そうぢょうねとり)
「双調」は、洋楽のG音(ソの音)を中心とする調子です。「音取(ねとり)」とは、各楽器間の音合わせ(チューニング)が高度に様式化されたもので、その調子に特有の音のめぐりを演奏することにより、曲を演奏する前に演奏の場の雰囲気をつくるという性格をもっています。
入破(じゅは)
もとは、壱越調(いちこつちょう)の「春鶯囀(しゅんのうでん)」という舞楽の第四楽章の曲ですが、八世紀以後、国内において、御遊(ぎょゆう・・・宮中で催された管絃の遊)のために双調(そうぢょう)に渡されたもので、雅楽の中では珍しく、六拍子の曲です。
朗詠 嘉辰(ろうえい かしん)
「朗詠(ろうえい)」は、漢詩に旋律をつけた歌曲で、平安中期に源 雅信(920〜993)によって選定され、最盛期には210曲を数えましたが、ほとんどが廃絶し、現在では14曲だけが伝えられています。
「嘉辰(かしん)」は、古くは踏歌節会(とうかのせちえ・・・歌の上手な男女を集め、年始の祝詞を舞わせた新年の宮中行事)で歌われたものです。付物(つけもの)といって、三管(笙・篳篥・笛)が歌に伴奏を付けます。

  歌詞: 「嘉辰令月歓無極 万歳千秋楽未央」
  読み: 「かしんれいげつかんむきょく ばんぜいせんしゅうらくびおう」
  大意: 「このめでたき良き日に、歓びは果てしない。万歳千秋を祝って
       楽しみは尽きることがない」

酒胡子(しゅこし)
古楽書によると、唐では「酒公子(しゅこうし)」と言い、曲芸の名であるとあります。また、酒宴で奏されたともあります。壱越調(いちこつちょう)からの渡し物で、元は舞楽の曲でしたが、現在は管絃のみで演奏されます。

【舞楽】ぶがく
迦陵頻(かりょうびん)-童舞(どうぶ)
「迦陵頻(かりょうびん)」は、童舞(どうぶ・・・子供の舞)の曲として有名です。極楽に居ると言われる霊鳥(迦陵頻伽-かりょうびんが)を模した装束を付け、頭には天冠(てんかん)、手には銅拍子(どうびょうし)を持ち、それを突く音は、迦陵頻伽(かりょうびんが)の鳴き声をまねたものと言われています。顔に化粧をするのは童舞だけで、可愛らしさがより一層ひきたちます。
.抜頭(ばとう)
林邑楽(りんゆうがく・・・インドやベトナムを起源とする楽舞)の一つで、八世紀にインドの婆羅門僧正(ばらもんそうじょう)と仏哲(ぶってつ)によって、伝えられたと言われています。一説には、西域の胡人(こじん)が猛獣に噛まれ、その子が敵討ちのために獣を探し、成敗する形の舞であるとも言われています。
天平勝宝4年(752)、東大寺の大仏開眼供養にも舞われ、『枕草子』にも、「髪振り上げたる。まみなどは、うとましけれど、楽もなほいとおもしろし」と詠われたことでも有名です。裲襠装束(りょうとうしょうぞく)に面をかぶり、短い桴(ばち)を持って舞い、曲も軽快なリズムで演奏されます。

 雅楽の曲には、一曲一曲に様々な歴史や文化が感じられます。演奏者たる我々も、その曲の背景や情緒をしっかりと感じながら奏でたいと常々感じております。